暮らしの中の建築パーツ「店舗型賃貸住宅meedo」(前編)
『暮らしの中の建築パーツ』では、新築やリノベーションをした住宅を訪ね、それぞれの建築パーツを選んだ理由や感想をご紹介します。

今回、訪れたのは小田急バスと手掛けるブルースタジオの「meedo(みいど)」です。2025年春に東京都調布市深大寺のバス停折返場横にオープンしました。
店舗と住宅から成り立つmeedoは、敷地内に井戸もあり、周辺地域の防災拠点としての役割も持っています。地域に開かれたmeedoではどんな建築パーツが使われているのでしょうか?ブルースタジオの薬師寺将さんが語ります。

〈プロフィール〉
株式会社ブルースタジオ一級建築士事務所・薬師寺将。大分県出身。2007年よりブルースタジオ入社。団地再生リノベーション、障害者シェアハウス、木造オフィスビル、新築賃貸住宅など、事業系を中心とした建築設計を担当。
地域に開かれたmeedoで「なりわい暮らし」
meedoは「なりわい暮らし」がコンセプトの一つでもある複合施設。店舗兼用住宅とSOHOやアトリエなどの利用が可能な賃貸住宅、住居専用住宅、シェアキッチンがあります。家の玄関口で商品を販売できる土間スペースがあったりと、賃貸で職住近接のライフスタイルができるのが特徴です。住人がカフェやアトリエなどを営み、バスを待つ人々や地域住民が自然と交流できる場所を目指しています。

「2021年に東京都武蔵野市に小田急バスさんと「hocco(ホッコ)」という「なりわい賃貸住宅」をつくりました。その第2弾として、meedoが誕生しました。meedoという名はこの地域がかつて絵堂(えどう・edo)と呼ばれていたことと、敷地内に井戸があるので井戸(いど)と掛け合わせて名付けられました」
−なるほど。meedoはこの地域に開かれた建築ということもあり、エクステリアに力を入れているそうですね。

「そうですね、周辺と建物の関係を考えつつ、あえて敷地内を通り抜けできる小径(こみち)をつくりました。植栽も早い段階から考えました。
敷地内には井戸の水を流す小さな川と池があります。
井戸から水が自然と出てくるので、目に見えるようにしたほうが楽しめるかなと思ったんです。
−この池にはメダカもいて、これを見たくて通う人もいそうですね。

「ここは小田急バスの停留所で、昔は近くに商店街もあったそうです。つつじが丘駅や深大寺駅までは少し距離がありますし、ここは空白の場所だったんです」

meedoの顔となる外壁は、端正な屋久島地杉材

まずはmeedoを印象付ける木製の外観から見ていきましょう。
「外壁にはチャネルオリジナルの屋久島地杉を使っています。他の杉材と違い、耐久性・耐候性が高いのが特徴です。他の物件でもデッキに同じ材を使っていて、綺麗すぎない自然な感じが気に入っています。いまでは木目調シートなどでいくらでも綺麗な木目をつくることはできますが、本物の木だからこその魅力があると思っています」
−外壁が木製だと経年変化が気になると思いますが、塗装はどんなものを使っていますか?

「ウッドロングエコを使っています。この建物は日当たりの面積も大きいので、かなり色味が変化してきていますが、シルバーっぽい色味になるところが気に入っています。塗った直後は木の茶色の色味ですが、時間が経つと色味が変化します。」
自然な風合いの舗装材ソイルセメント

「実は、路面の素材もこだわっています。セメントに砂と土を配合した、創景の『SKソイル』です。他の物件でも長く使っていますね。コンクリートのようにグレーにならない土のような質感が気に入っています。
このあたりにはキッチンカーが入る想定もしています。下地にコンクリートを打って上からこのソイルセメントを敷けば、車の荷重にも耐えられるようになります。
角も綺麗に仕上がりボロボロにならず、コンクリートのような扱いやすさと強度を兼ね備えています」

非常時にも役立つ井戸
−hoccoでの知見を活かし生まれたmeedoには、井戸があるのが特徴だそうですね。
「はい。小田バスさんからのご提案もあり井戸を掘って、この共有スペースの1つのパーツにしようと考えました。
ここは深大寺植物園も近く、周辺の地主さんの家にも井戸があったほど水が豊富な地域でした。防災時に役立つこともあり設置しました」
−井戸の周囲に使っている石は大谷石ですか?

「これ、大谷石ではなく深岩石といいます。大谷石より強度があるんですが雰囲気は似ていますよね。植栽を担当してくれたガーデンデザイナーの正木覚さんが選んでくれました」

電気メーターを美しく収める「BAKO」

−森田アルミ工業のBAKO(電気メーターカバー)が使われていますね。
「はい。PSのサイズに限りがあり各メンテナンススペースを考えると、給湯器とガスメーターはまとめてPS(パイプスペース)壁の中に入れて、電気系統だけ外に出すことにしました。
その時、電気メーターを綺麗に隠せる箱を探していたところ、森田アルミ工業さんのBAKOに辿り着いたんです。そもそも図面上はPSに両方を収めることができても、現場で施工する際には狭すぎて難しかったようです」
−下の方に設置しているのは、隠すためでしょうか?
「植栽で隠しつつ、なるべく視線を邪魔しないようにしています。自分たちでつくろうとするとコストもかかりますし、これはあるようでなかった製品だなと思います」

賑わいを演出する暖簾フック
−暖簾はお店の方が用意されるんですよね。暖簾があるのとないのとでは、建物の印象が大きく変わりそうですね。

「暖簾のフックは、吊りタイプと壁から突き出たタイプ、どちらも同じ小澤金物店というメーカーのものです。シンプルなものを探していて、ネットで検索してたまたま見つけました」
造作したエアコンのドレンカバー
「この物件では、エアコンのドレンカバーも自分たちでつくったんですよ。市販のドレンカバーって、プラスチック製で、あまり自分の好みのものがなくて。いつも施工をお願いしている方にお願いして金物でつくりました。これを製品化してくれたらすごく嬉しいですね」

屋久島地杉の外壁やソイルセメント、電気メーターを美しく収める「BAKO」など、公共性の高いmeedoだからこそのこだわりがエクステリアから感じられます。
続く後編では、住人の「なりわい暮らし」を支える内部空間のディテールに迫ります。
後編はこちら→
【このコラムで紹介した建築パーツ】
・外壁仕上げ:ウッドロングエコ(小川耕太郎∞百合子社)
・路面素材:SKソイル(創景)
・電気メーターカバー:BAKO(森田アルミ工業)
・深岩石
・暖簾フック:暖簾掛金物(小澤金物店)
【DATA】
なりわい賃貸住宅 meedo(みいど)
東京都調布市
延床面積 A棟299.24㎡ / B棟498.92㎡
構造 ⽊造2階建
竣工年月 2025年春
設計 株式会社ブルースタジオ
施工 ジェクト株式会社
