暮らしの中の建築パーツ「耐久性と実用性を重視した、自然素材あふれる28坪の家」(中編)
『暮らしの中の建築パーツ』第8回目、新潟県柏崎市に暮らす村松さん家族のお住まい(設計:住宅設計エスネルデザイン、施工:有限会社大恭建興)。中編では内部を見ていきます。
やわらかく上品な長野県産桧の無垢フローリング
―ここから家の中を見ていきましょう。玄関ドアを開けると奥行のある空間が広がっています。床は何を使っていますか?

〈村松さん〉床は「あづみの桧」(プレイリーホームズ)という長野県産の桧で、普段から提案している床材ですね。色味がやわらかく、同じ針葉樹の杉や松と比べて木目がマイルドなのが気に入っています。質感もやわらかいので歩いていて疲れにくいですし温かみもあります。

あとは国産というのも好んで使っている理由ですね。外壁もしかりですが、なるべく近くで採れるものを使うことで環境負荷を抑えられたらなあという思いがあります。
無垢材の中では比較的安いですし、針葉樹なのでほぼノーメンテナンスで使い続けられます。ささくれが出ることもほぼありません。

住宅設計エスネルデザイン・村松悠一さん。新潟県柏崎市出身・在住の一級建築士。2018年に一級建築士事務所「住宅設計エスネルデザイン」設立。「超高断熱の小さな木の家」を提唱している。床下の天井高を約1.4m確保する高基礎が特徴の一つ。
いつもは無塗装をお薦めしているのですが、我が家では妻の希望もありオイル塗装されたものを選びました。うちは子どもが3人いて、一番下の子はまだ3歳ということもあり床を汚しやすいので、オイル塗装でよかったかもしれません。
ただ無塗装よりも滑りやすくなる点は注意が必要ですね。あとは、広葉樹と比べると凹みやすいのが桧のデメリットです。物を落とすとすぐに凹みや傷が付いてしまうので。

壁はメンテナンスが簡単にできる塗装仕上げに
―桧は針葉樹の中では落ち着いた木目で上品さがありますよね。壁や天井がふわっと光を反射しているように見えますが、こちらはどんな仕上げですか?
〈村松さん〉壁・天井の白い部分は「エコフレッシュクリーン」(エスケー化研)というAEP(アクリル・エマルション・ペイント)です。色は白の中でも少し温かみがあるオフホワイト(色品番:19-92B)を選びました。純粋な白や青みがある白よりも木部との相性がいいですし、やさしい雰囲気の空間になります。

ビニルクロスは化学的なにおいがあったり、傷が付いたら修繕が難しいことから避けるようにしています。それに比べてAEPの場合は傷や汚れが付いても自分で直せるんですね。ローラーで塗ると、すぐになじんでどこを上塗りしたか分からなくなりますので。
イニシャルコストはビニルクロスより少し上がりますが、塗り壁ほどは掛かりません。
このような壁の汚れは上塗りで簡単に消すことができる。
―玄関はオープンなつくりで、可動棚や上着を掛けるハンガーバーなどの機能がまとめられています。壁の有孔ボードも上手に活用されていますね。
〈村松さん〉実用性を考えて玄関に有孔ボードをよく提案していますが、実際に帽子や服などを色々と掛けられて便利ですね。素材は桧の床と合うようにシナ合板を使っています。


松の集成材と調和する機能的なボウル一体型カウンター
―1階は玄関の他に3つの個室と水回りという構成です。1階の奥にある洗面脱衣室に行ってみましょう。廊下と洗面脱衣室を分ける扉はなく、ひとつながりになっているんですね。こちらの洗面台はどんなパーツが使われていますか?

〈村松さん〉洗面台のボウル一体型カウンターは「セミオーダー人工大理石一体洗面カウンターFlex Sinkハイバックタイプ」(エクレアパーツ)で、幅を自由に指定できます。

以前は洗面ボウルや水栓などを別々に選んで組み合わせる造作洗面台をつくっていたこともありましたが、カウンター立ちの水栓の場合は水栓の根元にカビが生えやすかったり、そもそも水栓を個別に選ぶと割高だったりという悩みがありました。
そこで、機能的でコストパフォーマンスがいいハイバックタイプの水栓一体型ボウルを使うようになったのですが、今回はその中でも人工大理石で質感がいいこの製品を使いました。使い勝手も見た目もよく気に入っています。
木部は洗面台の周りの収納も含めて、全て松の集成材でつくりました。扉は付けずにオープンなつくりにしていて、収納量をなるべく多く確保できるようにしています。

―ハイバックで左右のゆとりもあり、水はねが気にならないデザインですよね。洗面台の上にある3面鏡はどちらの製品ですか?
〈村松さん〉ミラーは「エーンヘート」というIKEAのミラーキャビネットを3つ並べたものなんです。これは施工をお願いした大恭建興さんに教えてもらいました。さらにキャビネットに穴をあけてもらい、中にコンセントを入れてドライヤーや電動歯ブラシを格納しています。

キャビネットのないミラーもいいですが、散らかりがちな洗面用品をすっきりと収納できますし、立った時に鏡との距離がちょうどよくなるという点でもミラーキャビネットはメリットが大きいと思います。
独自形状の木の手すりは握りやすさにこだわりあり
―次に階段に行ってみましょう。こちらは手すりの断面にただならぬこだわりが感じられます。

〈村松さん〉手すりは桧材を家具屋さんに加工してつくってもらったものです。20代の頃にフランスでこういうデザインの手すりを見つけて、それがとても握りやすかったんですね。自分で設計をするようになったら、こういう手すりをつくりたいなと思い、これまでに改良を繰り返しながら何パターンもつくってきました。実際に触り心地がよくて気に入っています。

あと、手すりを固定するブラケットは下から手すりを支えるものにしています。シロクマの「C形ブラケットL長平受 シルバー BR-212」という製品です。
こうすると、手すりの上をシューっと手を滑らせながら階段を上り下りできて気持ちいいんですよね。

もう一つ階段でこだわっているのが、ここだけグリッドを910mmではなく1,000mmに広くしていることです。階段が910mmグリッドだと少し狭いかな?と思っていて。2階リビングなので冷蔵庫を上げる時にもう少し余裕があるといいなというのもあり。ただ、そうすることで設計の手間も施工の手間も増えるのが厄介なところではありますが。

スイッチは直感的な分かりやすさとクリック感を重視
―階段手すりは握った時のフィット感がとても自然で新しい体験でした。ちょうど階段を上り切ったところにスイッチがありますが、こちらを選んだ理由はなんでしょうか?
〈村松さん〉以前はデザインがすっきりした「アドバンスシリーズ」(Panasonic)を提案してきたのですが、自邸では「ソー・スタイル」(Panasonic)を採用しました。

アドバンスシリーズのようなフラットなスイッチではないのでオン・オフが直感的に分かりやすいですし、押した時のクリック感も好みです。見た目がシンプルなのも気に入っています。
白いAEPの壁にはマットホワイトを、ツガの羽目板を使っている場所にはマットグレーを合わせています。

– 中編はここまでです。次回の後編では、村松様邸の2階リビングをご紹介します。
【この記事で紹介した建築パーツ】
HACO(株式会社タニタハウジングウェア)
イーヴスベンツ(日本住環境株式会社)
ユーロトレンドG(プレイリーホームズ株式会社)
あづみの桧(プレイリーホームズ株式会社)
エコフレッシュクリーン(エスケー化研株式会社)
セミオーダー人工大理石一体洗面カウンターFlex Sinkハイバックタイプ(エクレアパーツ)
エーンヘート(イケア)
C形ブラケットL長平受 シルバー BR-212(株式会社シロクマ)
ソー・スタイル(Panasonic)
【DATA】
村松様邸
新潟県柏崎市
延床面積 92.39㎡(27.89坪)
構造 木造軸組工法
竣工年月 2025年2月
設計 住宅設計エスネルデザイン
施工 有限会社大恭建興
住宅設計エスネルデザイン
https://escnel.com
