フローリングの話②「種類編」 〜本物かではなく、暮らしに合っているか〜

フローリングの話①「樹種編」に続き、ここではフローリングの種類について説明します。

→フローリングの話①「樹種編」はこちら


「無垢材を選ぶかたが多いですか?」 

床材を決める仕様打ち合わせ時に、お施主様から多くいただくこの質問。 

世間では無垢材=良い床材というイメージを持っているかたが多いようなので、このような質問をされるかたがいるのだと思います。

たしかに、無垢フローリングには独特の魅⼒があり、本物志向のお施主様には⼈気の床材です。

⼀枚の⽊から切り出された素材ならではの表情や、触れたときの柔らかさや⼼地よさ、時間とともに変化していく⾵合い。新築時だけでなく、住みながら少しずつ味わいが深まっていく経年変化も、本物ならではの楽しみかたです。

写真提供:株式会社 おうちLABO


 

暮らしに合わせたフローリングとは?

しかし、フローリングを選択するときに⼤切なのは、「本物かどうか」ではなく、「⾃分たちの暮らしに合っているか」という判断軸だと私は思います。

フローリングには⼤きく分けて、無垢・挽板・突板・シートの4種類があります。
実際の打ち合わせ時にこの違いを説明すると「そんなに種類があるんですね」と驚かれるかたが多いですが、それぞれ素材や構造が異なるため、⽊の質感を存分に楽しめるものから、機能性やコストパフォーマンスに優れたものまで特徴はさまざまです。

住まいづくりではそれぞれの特性を理解し、暮らしに合わせたフローリングを選ぶことが ⼤切だと私は思います。



代表的な4種類のフローリング


①無垢フローリング 

無垢フローリングは、⼀枚の⽊をそのまま床材にしたものです。

⽊そのものの質感を感じやすく、樹種ごとの個性も豊かに表れます。
触り⼼地もよく、⾃然素材ならではの温かみがあります。
⼀⽅で、湿度による伸び縮みや反り、すき間が⽣じることがあります。

また、材種によっては傷やへこみが付きやすいため、経年変化や⽇々のメンテナンスには 少し気を配る必要があります。


②挽板フローリング

挽板フローリングは、合板などの基材の上に、2〜3mm程度の天然⽊を貼ったものです。

表⾯には本物の⽊が使われているため、⾒た⽬や質感は無垢材に近くなります。
無垢材の表情は楽しみたいけれど、反りやすき間などのリスクは抑えたいと考えているか たには、⾮常にバランスのよい選択肢となります。


③突板フローリング

突板フローリングは、天然⽊を0.2〜0.5mm程度に薄くスライスしたものを表⾯に貼った 床材です。

挽板と⽐較した場合、表⾯材は薄くなりますが天然⽊の⽊⽬を感じることができます。価格を抑えながら、⽊の表情を取り⼊れたい場合に選択されることが多い床材です。


④シートフローリング

シートフローリングは、⽊⽬柄を印刷したシートを表⾯に貼ったものです。

天然⽊ではあ りませんが、近年は印刷技術や表⾯加⼯の精度が⾼く、⾒た⽬だけでは分かりにくいものも増えています。傷や汚れに強い商品も多く、⽇々の⼿⼊れがしやすいという実⽤⾯でのメリットがあります。



フローリング用突板の制作風景



暮らしに合わせた選択肢

フローリングには、それぞれ異なる特徴や魅⼒があります。
無垢材が良くて、シートは妥協。そう単純に考えられるものではありません。

例えば、
⼩さなお⼦様がいて、⾷べこぼしやおもちゃによる傷が気になるご家庭。 
ペットと暮らしていて、滑りにくさや汚れへの強さを重視したいご家庭。 
共働きで、できるだけ⽇々のメンテナンスに⼿間をかけたくないご家庭。
多少の傷や⾊の変化も含めて、⽊の床を育てるように暮らしたいご家庭。

それぞれの暮らしかたによって、選択するフローリングは異なります。

床は、家の中で⼀番⻑く⾝体に触れている建材かもしれません。 

朝起きて最初に⾜が触れる場所。
⼦どもが座り込んで遊ぶ場所。
⾷卓の椅⼦を引き、ソファの前でくつろぎ、時には寝転がる場所。

だからこそ、フローリング選びは⾒た⽬だけで決めるものではありません。

これから始まる暮らしの中で、どのような質感を⼼地よいと感じ、⻑く付き合っていきたいのかを考えることが⼤切です。

美しさを楽しむのか。
扱いやすさを優先するのか。
変化を受け⼊れるのか。
きれいな状態を⻑く保ちたいのか。

その価値観が、床には静かに表れます。
「本物か」ではなく、「暮らし」に合っているか。 
フローリング選びの第⼀歩は、そんな視点から始まるのかもしれません。

写真提供:株式会社 おうちLABO