暮らしの中の建築パーツ「豊かな自然に囲まれた、山小屋のような家」(中編)
今回の『暮らしの中の建築パーツ』は、新潟県阿賀野市に暮らす大越さん家族のお住まい(設計・施工:オーガニックスタジオ新潟株式会社)。中編では内部を見ていきます。
玄関土間に無垢材を張り、外部との連続感をつくり出す
―ではここから家の内部を見ていきましょう。まずはこちらの玄関ですが、床が土間コンクリートではなく木が使われているんですね!
〈大越さん〉はい、ここはオークの無垢フローリングを張っていて、室内と同じ自社オリジナルの蜜蝋ワックスで仕上げています。ポーチがウッドデッキなので木が続いている方が連続性が出るかなということでこのようにしました。

木だからといって特別に注意することはなくて、雨の日もびしょびしょに濡れた靴のまま入ったり、割と荒っぽく使っても今の状態が保てています。隙間はできますが、反ったりはしないですね。
メンテナンスは、半年に1回くらいのペースで水拭きをして蜜蝋ワックスをかけています。

オークとカラ松。堅さと表情が異なる2種類の床を張り分け
―そして、下足して上がったところもオークの無垢フローリングですね。
〈大越さん〉はい、1階の床は120mm幅のオークを使っています。オークの床には元々憧れがあって、見た目も好きですし強さもあります。堅い木の中では求めやすい価格帯であることもオークの良さですね。

―玄関のように定期的にメンテナンスをしていますか?
〈大越さん〉ノーメンテナンスで10年という方もいらっしゃいますし特にしなくてもいいんですけど、メンテナンスをやりたくてたまにやっていますね。
キッチンの周りは水はねで染みができやすいので、そこを紙やすりで少し削って蜜蝋ワックスを塗ったりという感じで、特に難しいことではありません。あとは裸足で歩くことで足の裏の油がつくので、それが日々のメンテナンスにもなります。

オーガニックスタジオ新潟株式会社 建築部 大越志乃さん。1988年生まれ、阿賀野市出身。二級建築士。新発田南高校建築科、職業能力開発短期大学校住居環境科を卒業後、新潟市内の建築会社、建材メーカーでの勤務を経て、2021年にオーガニックスタジオ新潟に入社。現在は主にメンテナンスを担当している。
ただ無垢材なので隙間はできやすいです。場所によってはサネの部分がはっきり見える程の隙間が空いているところもあります。
2階は雰囲気を変えたくて「あづみのカラ松」(プレーリーホームズ)を使っています。今は生産が終わってしまった建材です。

オークよりもやわらかいので、歩くという点ではカラ松の方が気持ちいいですが、傷は付きやすいです。2階は子どものおもちゃだらけなので特に傷付きやすくなっています。ご愛嬌ということにしていますが。

壁はローラー施工できる漆喰をDIYで
―次に壁材を見ていきましょう。これは壁紙ではないようですが、どのような仕上げでしょうか?
〈大越さん〉「プラネットウォール・クイック&イージー フラット」(Planet Japan)というローラー施工タイプの漆喰です。これは容器に入った液状のものを撹拌して塗るだけなので、誰でも簡単に扱うことができます。

ローラーで2回塗るんですが、1回目は下地の紙が見えなくなるくらいに塗り、2回目はローラーで塗った後にコテで押さえて仕上げていきました。
オーガニックスタジオ新潟ではDIYでお施主さんに漆喰を塗って頂くことも増えているので、私たちも挑戦をしました。やってみると職人さんのすごさやありがたさを感じられます。
―漆喰は光の反射の仕方が穏やかでやさしい感じがしますよね。質感の良さ以外にはどんな特長がありますか?
〈大越さん〉汚れが落ちやすいのも漆喰の特長ですね。ちょっとした汚れはメラミンスポンジを濡らしてこすると落ちるんですよ。やり過ぎると漆喰も削れてしまうので加減が重要ですが。それに材料を買えば自分で塗れるという自信ができたので、汚れに対して大らかでいられます。
―ちなみに場所によっては壁紙も使っていますか?
〈大越さん〉はい、トイレや洗面室などはエッグウォールを使っています。オーガニックスタジオ新潟では、漆喰を使わずに壁紙を使う場合の標準を「エッグウォール」(日本エムテクス)にしているんです。
エッグウォールは細かく砕いた卵の殻を原料にしているのでざらつきや硬さがあり、ビニルクロスとは違う質感を持っています。

あとは、漆喰を塗る前に「KOBAU」(Planet Japan)という塗装用の紙下地を張るんですけど、2階の一部は漆喰を塗らずにKOBAUだけを張って終わりにするというのを実験的にやっています。
2年以上経ってもきれいなままなので、KOBAUで仕上げるという方法も良いかもしれません。塗りたくなったら塗ることもできますしね。

ダイナミックな勾配天井はツガのオイルフィニッシュ
―壁の次は天井にいきましょう。大きな勾配天井が印象的ですが、これは何の木を張っていますか?
〈大越さん〉これはツガですね。白い天井ではなく木を張りたくて、その中でも確保しやすくてきれいなツガを選びました。オイルを塗ったことでより深みのある表情に仕上がっています。

あとダイニングキッチンの上は天井を張らずに2階の床下地に使っているラーチ合板をそのまま表しにしています。

―次にもう少し細かいパーツ、巾木を見てみましょう。こちらも木が使われていますね。
〈大越さん〉はい、これは杉の巾木です。オーガニックスタジオ新潟では杉の巾木を標準にしていて、だんだんと薄く低く目立たないサイズになっています。これは高さ20mm・厚さ10mmですね。昔はもっと大きかったです。

最近はこれよりももう少し薄い7mmになっていて、場所によっては白く塗装してより目立たなくすることもあります。
入り巾木なども素敵だなあとは思いますけど、掃除機をかける時はやはりしっかり巾木が出ていた方が安心します。私はガンガン掃除機を当ててしまうタイプなので(笑)。
つけ置き洗いにも便利な病院用シンクを使った造作洗面台
―ちょっと戻って、玄関ホールの前にある洗面室に行ってみます。こちらは既製品ではなく造作の洗面台ですね。
〈大越さん〉本当はスロップシンクも欲しかったんですけど、スペース的に難しかったので深くて大きい病院用シンク「SK106」(TOTO)を使った造作洗面台にしました。

深さがあるのでつけ置き洗いをするにも髪を濡らすにも便利ですね。水栓はキッチン用のシャワータイプのものにしているので、シンクを洗う時にも重宝しています。

壁のタイルは「ランドマーク LM4/B」(聖和セラミックス)という製品です。その上の鏡も造作で、スライドする鏡の後ろが収納スペースになっています。半分はオープンな棚で半分は隠して使えるのが便利ですね。
それから隣の脱衣スペースには冬の暖房用の床下エアコンがあり、そのスペースは床下点検口を兼ねています。
床下で温めた空気は1階のいろいろな場所の床に設けたガラリから室内に採り込める仕組みで、床と同じオーク材の「nine 木製床ルーバー」(nine)を使っています。

– 中編はここまでです。次回の後編では、引き続き大越様邸の内部空間をご紹介します。
コラム前編はこちら→
【この記事で紹介した建築パーツ】
Belt Simply(Atelier Key-men株式会社)
スウェーデンドア(ガデリウス株式会社)
スタンダード半丸(株式会社タニタハウジングウェア)
クサリトイ ensui(株式会社タニタハウジングウェア)
屋久島地杉(チャネルオリジナル株式会社)
ウッドロングエコ(有限会社 小川耕太郎∞百合子社)
グロスクリアオイル(Planet Japan)
ウッドコート(Planet Japan)
あづみのカラ松(プレーリーホームズ)
プラネットウォール・クイック&イージー フラット(Planet Japan)
エッグウォール(日本エムテクス)
KOBAU(Planet Japan)
SK106(TOTO)
ランドマーク LM4/B(聖和セラミックス)
nine 木製床ルーバー(nine)
【DATA】
大越様邸
新潟県阿賀野市
延床面積 101.84㎡(30.75坪)
構造 木造軸組工法
竣工年月 2024年3月
設計・施工 オーガニックスタジオ新潟株式会社
オーガニックスタジオ新潟株式会社
https://www.organic-studio.jp/
