暮らしの中の建築パーツ「豊かな自然に囲まれた、山小屋のような家」(前編)

『暮らしの中の建築パーツ』では、新築やリノベーションをしたご家族の家を訪ね、それぞれの建築パーツを選んだ理由や感想をご紹介します。

今回訪れたのは新潟市の工務店、オーガニックスタジオ新潟株式会社が設計施工を行った、新潟県阿賀野市に立つ大越(おおこし)さん家族の住まいです。

大越さんはオーガニックスタジオ新潟で現場監督・メンテナンスを担当するスタッフであり、自邸の建築においては自ら実施設計を行いました。

オーガニックスタジオ新潟が家づくりで大切にしている考え方の一つが、自然素材を品よく使うこと。無垢材や漆喰、紙などの美しく温かみあふれる素材をふんだんに使った住まいが特徴です。

今回訪れた大越さんの自邸ではどのような建築パーツ選びがなされているのか、見ていきましょう。

 

 

里山の風景に似合う杉板と漆喰の外壁

2024年3月に竣工した大越さんの家は、阿賀野市の中でも里山に近い自然豊かな住宅地に立っています。

「2015年にオーガニックスタジオ新潟で建てられた『柳沢の山荘』と名付けられた家に憧れていました。広い庭とウッドデッキがあって、オーガニックスタジオ新潟に入社する前から、そんな家に住みたいと思っていたんです」(大越さん)。

オーガニックスタジオ新潟株式会社 建築部 大越志乃さん。1988年生まれ、阿賀野市出身。二級建築士。新発田南高校建築科、職業能力開発短期大学校住居環境科を卒業後、新潟市内の建築会社、建材メーカーでの勤務を経て、2021年にオーガニックスタジオ新潟に入社。現在は主にメンテナンスを担当している。

そんな思いを具現化した大越さんの住まい。133坪のゆとりある敷地には草木が茂り、庭へと突き出した下屋の下にはウッドデッキが広がっています。

まずは外壁から見ていきましょう。



―木の外壁が山小屋のような雰囲気を醸し出しています。
外壁の大部分は杉板でしょうか?

〈大越さん〉はい、「ウッドロングエコ」(小川耕太郎∞百合子社)を塗った杉板を使っています。年数が経ってもみすぼらしくならず、風情を感じさせるところが杉板のいいところだと思っていて、オーガニックスタジオ新潟でよく使っている素材です。山小屋感を出したかったので横張りにしました。
ポーチのルーバーは最近取り付けたものなんですけど、これは汎用性の高い30mm×30mmの野縁にウッドロングエコを塗っています。夜に照明の光が漏れるのもきれいですよ。

それからポーチの壁だけはアクセントに漆喰を自分たちで塗りました。鹿児島のシンケンの加賀江広宣さんのご自宅のポーチの雰囲気が素敵だなあと思っていて、そのイメージで漆喰を使っています。

 

 

くすんだ風合いが味わい深い銅製のブラケットライト

―玄関ドアの横に付いている照明も趣きがありますが、こちらはどんな製品ですか?

〈大越さん〉「Belt Simply」という銅製の照明です。滋賀県のAtelier Key-menという照明器具を制作する会社さんがつくっているもので、お施主様でこの製品を採用している方がいて真似しました。

ピカピカしているのではなく最初から少しくすんだ風合いで、それが時間の経過と共にさらにくすんできています。お施主さんやスタッフでも採用する方が多いですよ。



―この照明は漆喰の壁との相性もすごくいいですね。そしてその隣の木製玄関ドア。こちらはどちらのメーカーのものでしょうか?

〈大越さん〉「スウェーデンドア」(ガデリウス)というチーク材を使った玄関ドアです。断熱性能も見た目も良く、オーガニックスタジオ新潟でよく使われてきました。高い断熱性能のおかげで冬に玄関ドアの前に行っても寒さを感じません。

ある程度の重みがあるのもいいですし、点検目線になりますが、ドアクローザーのスピード調整や蝶番の調整がやりやすいのも良いところです。





雨樋いは耐久性の高いものを本当に必要なところだけ

―ところで、屋根の軒先に注目すると雨樋いがあまり付いていないですね。

〈大越さん〉雨樋いはポーチ周りしか付けていないんですよ。雪による雨樋いの破損を避けたいという理由から、人が通る場所以外は省略しました。三川石を並べて雨落ちをつくっているので、雨水が跳ね返って外壁を傷めることはありません。

オーガニックスタジオ新潟では鋼製の雨樋いを標準仕様にしており、この家ではガルバリウム鋼板でつくられている「スタンダード半丸」(タニタハウジングウエア)を使っています。

私はメンテナンスを担当しているので10年が経ったお宅に点検に行くことが多いですが、ガルバリウム鋼板の雨樋いは全然劣化が見られません。価格は高めですが、お金をかけていい部分だと思います。

玄関前で目立つ場所ということもあり、縦樋いは意匠的にいいなと思っていた「クサリトイ ensui」(タニタハウジングウエア)を選びました。雨が伝って落ちていく様子は風情があります。ただ、葉っぱが詰まりやすいので、こまめに取り除かなければなりませんが(笑)。

 

 

裸足でくつろぐウッドデッキは油分の多い屋久島地杉を使用

―次にデッキ材を見てみましょう。こちらは何の木が使われていますか?

〈大越さん〉これは屋久島地杉(チャネルオリジナル)で、一般的な杉よりも油分が多く耐候性が高いといわれています。オーガニックスタジオ新潟ではウッドデッキにウッドロングエコで塗装した檜を使うことが多いですが、今回は屋久島地杉の無塗装でチャレンジをしてみました。

その後、「グロスクリアオイル」(Planet Japan)と顔料を含む「ウッドコート」(Planet Japan)を自社で調合したものを塗りました。経年変化した木の色をイメージしてつくった独自の色ですね。

ウッドデッキは裸足で使うことが多いですが、ササクレが出ないですし足触りも良くてすごくいいですね。ちゃぶ台を出してごはんを食べたり、昼寝をしたり日常的に使っています。

ちなみに屋久島地杉はアプローチにも使っています。厚さは40mmで枕木に使うには薄いですが、どれくらい持つかを実験的に置いているところです。はじめは無塗装で置いていたんですが、途中から裏面にだけ自然塗料を塗りました。

 

– 前編はここまでです。次回の中編では、大越様邸の内部をご紹介します。

 

【この記事で紹介した建築パーツ】

Belt Simply(Atelier Key-men株式会社)
スウェーデンドア(ガデリウス株式会社)
スタンダード半丸(株式会社タニタハウジングウェア)
クサリトイ ensui(株式会社タニタハウジングウェア)
屋久島地杉(チャネルオリジナル株式会社)
ウッドロングエコ(有限会社 小川耕太郎∞百合子社)
グロスクリアオイル(Planet Japan)
ウッドコート(Planet Japan)

 

【DATA】
大越様邸
新潟県阿賀野市
延床面積 101.84㎡(30.75坪)
構造 木造軸組工法
竣工年月 2024年3月
設計・施工 オーガニックスタジオ新潟株式会社

オーガニックスタジオ新潟株式会社
https://www.organic-studio.jp/