フローリングの話①「樹種編」〜床は住まいで⼀番⼤きな家具〜
「無垢材にすると⾦額はいくらになりますか?」
無垢材をご検討いただいているお施主様から、よくいただく質問です。
⼀⾒シンプルな問いですが、実は住宅会社としては回答が難しい質問でもあります。
なぜなら、無垢フローリングの価格は樹種によって⼤きく異なるからです。
仕様を決めるうえで価格は重要な判断材料のひとつであり、樹種によってコストも変わります。しかし、樹種によって変わるのは、価格だけではありません。 ⽊の表情や肌ざわり、経年による⾵合い、さらには空間全体に⽣まれる⼼地よさまで左右されていきます。

内観の印象を⼤きく左右するフローリング選び。床は空間の中でも⼤きな⾯積を占めるため、⾊によって空間全体の印象は⼤きく変わります。そのため、多くのかたが最初に「⾊味」を気にしながらフローリングを選んでいきます。
明るい床にしたい。
落ち着いた雰囲気にしたい。
家具に合わせやすい⾊がいい。
など、実際に仕様打ち合わせをしていると、さまざまなご要望をお伺いします。
しかし、空間の印象を決めているのは⾊だけではありません。
同じような明るい⾊でもオークとメープルでは印象が異なり、同じ茶系でもウォールナッ トとチェリーでは雰囲気が全く変わっていきます。
⽊⽬、節、硬さ、経年変化、⾜触り‥‥こうした床の個性を決めているのが、⽊の種類、 つまり「樹種」です。
「床選びは、⽊を知ることからはじまる」
樹種とは、フローリングに使われる⽊の種類のことです。オーク、ウォールナット、チェリー、メープル、アッシュ、パイン、杉、ヒノキなど、床材にはさまざまな⽊が使われます。
ここからは、それぞれの樹種の違いについて説明します。
①オークのフローリング
写真提供:株式会社 おうちLABO
例えばオークは、日本ではナラとして知られる広葉樹で、古くから家具やウイスキー樽な どにも使われてきた、耐久性の高い木です。
フローリングの中でも非常に人気があり、実際の打ち合わせでも最後まで候補に残りやすい樹種ですので、迷ったらまず選択肢に加えてもいいかもしれません。木目がほどよくはっきりしているため、「木」らしい表情を楽しめます。
ナチュラルにもヴィンテージにもモダンにも合わせやすく、インテリアのテイストを選ばないバランスの良さが魅力です。

②ウォールナットのフローリング
写真提供:レクト一級建築士事務所
ウォールナットは、クルミ科の広葉樹で、世界三大銘木のひとつとして知られています。
深みのあるブラウンと美しい木目が特徴で、高級家具や内装材にも多く用いられます。空 間に落ち着きや重厚感をもたらし、静かで上質な雰囲気をつくりやすい樹種です。経年と ともに色味がやや明るくなり、表情が柔らかく変化していくのも魅力です。
写真提供:株式会社 おうちLABO
③メープルのフローリング
写真提供:株式会社 おうちLABO
メープルは、日本ではカエデとして親しまれる広葉樹です。
硬く緻密な木質を持ちながら、見た目は明るくやわらかな印象があります。木目がおだやかで主張が強すぎないため、空間をすっきり広く見せたい場合に向いています。個人的にも、空間に調和しつつも、どこか温かみを感じられるメープルは、とても好きな樹種のひとつです。
写真提供:株式会社 おうちLABO
④チェリーのフローリング
写真提供:レクト一級建築士事務所
チェリーは、桜の仲間にあたる広葉樹で、経年変化の美しさから人気の高い樹種です。使 い始めはやや明るく淡い色合いですが、紫外線や空気に触れることで少しずつ赤みと深み が増していきます。数年かけて飴色へと変化していく様子は、まるで住まいと一緒に成熟 していくようです。新築時の美しさだけでなく、時間が育てる美しさを楽しみたい方に向 いています。
写真提供:レクト一級建築士事務所 (ブラックチェリー)
⑤杉・パイン材のフローリング

パインや杉のような針葉樹はやわらかく、⾜触りがやさしいのが特徴です。素⾜で過ごす 時間が⻑い家や、⼩さなお⼦様がいる暮らしには⼼地よさがあります。⼀⽅で傷やへこみ はつきやすく、それを⽋点と⾒るか、味として楽しむかは住まい⼿の価値観が表れます。
写真提供:株式会社 おうちLABO (パイン材)
カットサンプル
樹種を選ぶとき、最初はカタログを⾒て雰囲気を確かめる⽅が多いかもしれません。
しかし、実際にカットサンプルを⼿に取り、⽊⽬の強さや節の出⽅、硬さ、経年変化、触 れたときの感触まで確かめてみると、⾃分たちの暮らしにしっくりくる樹種が⾒つかるか もしれません。
実際のお打ち合わせでは、第⼀希望の樹種ではなく、サンプルを裸⾜で踏んで気に⼊った 樹種に⼼変わりするかたも珍しくありませんので、ぜひさまざまな樹種に触れてみてくだ さい。
「床は住まいで⼀番⼤きな家具」
床は、住まいの中で最も⼤きな家具のような存在です。
毎⽇⽬に⼊り、毎⽇⾜で触れ、家具や建具、壁紙、照明とともに空間の印象をつくってい きます。
樹種を選ぶということは、単に⽊の種類を選ぶことではありません。
どんな空気感の家にしたいのか。
どんな時間の重なりを楽しみたいのか。
どんな⼼地よさの中で暮らしたいのか。
実際に打ち合わせで悩んでいるお施主様を⾒ていると、フローリングを選ぶ時間というのは、実は「どんな家で暮らしたいか」を考える時間でもあるのだと感じます。
だからこそ、⾒た⽬や価格だけではなく、⾃分たちが⼼地よいと感じる感覚を⼤切にして選んでいただくことがいいのかもしれません。
フローリングの話①(樹種編)は、一旦ここまでです。
次回はフローリングの話②(種類編)。
無垢、突板、シートなど、フローリングの種類の違いをご説明します。
二級建築士・宅地建物取引士・二級FP技能士
1989年生まれ。埼玉県戸田市出身。株式会社おうちLABOにて「建築家とつくる家づくり」をコンセプトに住宅営業がいない住宅会社を経営。自身も建築士として様々なコンテストを受賞しており、デザインと住み心地を追求した住まいを埼玉・東京を中心に展開。建築士が土地仲介からFPまで行う独自のスタイルで延べ1000組以上の顧客の問題解決を行い、住まいのコンシェルジュとしてワンストップサービスを展開中。
株式会社おうちLABO
