屋外コンセントの話

「屋外コンセントはどこに設置しますか?」

注文住宅の打ち合わせが進み、電気図の打ち合わせの際に住宅メーカーから必ず聞かれるこの質問。私も住宅メーカー側として過去に何度もこの質問をしてきました。

が、ほとんどの施主様はこだわりがなく、「お任せします!」「おすすめの位置で!」と 回答をいただく事がほとんどです。

注文住宅は、ただでさえ決めなければいけないことが多い中、「屋外コンセント」というニッチなパーツに時間をかける施主様は少なく、なんとなくで位置や仕様を決めるケースが多いような気がします。

しかし、決して家の主役とは言えないこのパーツには、仕様や設置箇所を少しこだわるだけで、外観デザインや生活の豊かさに大きく影響を与える「ポテンシャル」を秘めたパーツでもあるのです。

住宅の電気配置図

 

 

「屋外コンセント」の4つの機能

屋外コンセントには4つの重要な役割があります。

1つ目は雨や水しぶきに耐える事ができる防水性、

2つ目は長期間に渡り太陽光や気候の変化に対応できる耐久性、

そして3つ目は意匠性、4つ目は利便性です。

今回は意匠性と利便性について深く掘り下げ、屋外コンセントのポテンシャルをご紹介していきます。

 

 

「屋外コンセント」の意匠性

街を歩いていると意匠性の高いファサードや、外壁の素材や質感にこだわっている建物を多く見かけます。

しかし、デザイン性を高めるために手間と費用をかけているのにも関わらず、凡庸品の屋外コンセントを設置してることで、外観にノイズが発生している建物をよく見かけます。このように凡庸品の屋外コンセントを設置すると外壁と調和せず悪目立ちしてしまいます。

凡庸品の屋外コンセント

しかし、外壁に合わせたスタイリッシュな屋外コンセントを設置することで、ノイズがなくなり存在感を消す事ができます。

私がおすすめする屋外コンセントは、GOOD DESIGN賞も受賞しているPanasonicのスマートデザインシリーズです。

ホワイト・ブラック・シャンパンブロンズ・ホワイトシルバーと4色展開しており、外壁に合わせたカラー選択をすることが可能です。

画像:Panasonic 屋外用防水コンセントページ参照

住宅メーカーによって価格は異なりますが、凡庸品と比較すると定価ベースで1箇所650円しか変わらない為、そこまで大きな負担なく外壁と調和した美しい外観を実現する事が出来ます。

 

 

「屋外コンセント」の利便性

屋外でコンセント未設置の住宅では、室内から延長コードを伸ばしてコンセントを利用します。 しかし、それでは窓が空いたままになり匂いや埃、虫などが室内に入り不便と感じる方が多いようです。

ここでは屋外コンセントをどのような用途で利用しているかケース毎に紹介しますので、 当てはまる用途を考えながら屋外コンセントの位置を計画していただければと思います。

 

① BBQ

注文住宅で叶えたい夢といえば庭でのBBQ。 家族や友人を招いて楽しい時間を過ごすために、ホットプレートや卓上IHを利用したり、 ケトルで簡易的にお湯を沸かしたりと、庭でのBBQでは屋外コンセントが大活躍します。

また、屋外で快適に過ごすために意外と忘れがちなのが虫対策。 コンセントタイプの虫除けも販売されているで、様々な「おそと時間」を楽しむためにも屋外コンセントはマストです。

 

清掃

外回りの掃除や車の洗車にケルヒャーなどの高圧洗浄機を使用する方が多いですが、高圧洗浄機を利用する時にも屋外コンセントが必要になります。

外壁・窓・網戸といった住宅の外周部の清掃から、ウッドデッキ・タイル・土間コンクリートといった外構部分の掃除まで、高圧洗浄機を利用する事で住まいを綺麗に保つ事が出来ます。

また、芝を手入れする時に使用する芝刈り機や、落ち葉を掃除する時のブロアーなど、屋外コンセントは清掃面でも欠かせないパーツです。

 

趣味 / DIY

最近ではDIYを趣味に持つ施主様が多く、引渡後に自分好みにカスタマイズし、より快適かつ愛着のある住まいに変化させる方が増えています。

DIYの工具を使用する際にも屋外コンセントがある事で作業効率も上がり、DIYが捗りま す。

また、外で音楽を流したり、充電しながらゲームをする際にも利用できるので、趣味の為にも最低1箇所は屋外コンセントを設置することをおすすめします。

 

ライトアップ/防犯

暮らしてから気づくことの多い夜の暗さ問題。

庭をライトアップしLDKからの夜景を楽しみたい方やファサードの意匠性を上げたい方 は、1箇所でも屋外コンセントを設けておくことで後々の選択肢を増やす事が出来ます。

また、クリスマスやハロウィンのようなイベントの際にライトアップを考えている方にも屋外コンセントは必須です。

最近では防犯対策で人感センサーや防犯カメラを後付けする方も増えておりますので、防犯対策の一環としても屋外コンセントは活用できます。 

 

充電

EV用の200Vコンセント

近年、少しずつシェアが増えているのがEV車やPHEV車。

現在はガソリン車の方でも将来は電気自動車に乗り換える日が来るかもしれませんが、その際に不便なのが電気自動車の充電問題です。

一般的な屋外コンセントは電圧が100Vですが、充電用のコンセントは200Vになる為、新設または既存コンセントの電圧変更工事が必要になります。

後付けで充電専用コンセントを設けると新築時よりも設置費用が高く、思わぬ出費になることもありますので、電気自動車に興味がある方は新築時に設置することをおすすめします。

 

 

引渡後の施主様より「屋外コンセントを新設したい」というご要望をいただく事がありますが、新築工事中に設置するよりもコストがかかる事が多く、場合によっては化粧カバーを設け配線しなければいけない為、上記の活用例を参考にしていただき、使用する可能性がある場所には事前に設置することをおすすめします。

化粧カバーを施した配線。外壁のノイズになってしまう。

 

引渡後に意外と後悔することが多い屋外コンセントの仕様や設置箇所ですが、少しのこだわりで意匠性も利便性も格段に上がるパーツでもあります。

住まいづくりをこれから計画される方、もしくは現在計画中の方は様々な検討リストを作成しているかと思いますが、その項目に「屋外コンセント」を加えてみるのはいかがでしょうか。