Session Nagoya「上質な家づくりに共通する視点」(前編)
Noizlessを運営する森田アルミ工業主催のイベント「Session」。その第2回が、2/27(金)に名古屋市西区新通のmadanasasoにて開催されました。
「Session」では建築業界の第一線で活躍するプロフェッショナルをお招きし、住宅や建築についての考え方をお話し頂きます。
今回は、三交不動産株式会社注文住宅事業部の吉野雅大さん、住友不動産ハウジング株式会社の殿最雄太さん、レクト一級建築士事務所の廣戸海渡さんをお招きしました。
お三方に「上質な家づくりに共通する視点」というテーマでお話頂きました。前編・中編・後編の3回に渡るイベントレポートをご覧ください。
登壇者紹介
〈藤本〉今回司会進行を務めさせて頂きます、森田アルミ工業の営業部の私藤本と川治です。よろしくお願い致します。
藤本樹(ふじもといつき)。1995年生まれ。森田アルミ工業株式会社 営業部 営業課 建材1グループ主任。2013年森田アルミ工業株式会社入社。製造部での勤務を経て、営業部に配属。川治柚葉(かわじゆずは)。1997年生まれ。森田アルミ工業株式会社 営業部 営業課 建材1グループ。2024年森田アルミ工業株式会社入社。関東・甲信越エリアを担当。
今回「上質な家づくりとは?」というテーマでトークセッションを行いたいと思います。
私は中部地方を担当しているのですが、いろいろな工務店さんとお話をさせて頂いていると、「好調」という工務店さんもいらっしゃいますし「今苦労している」という工務店さんもいらっしゃいます。
その中で、好調な工務店さんはデザインや空間に対して特に強い意識を持たれているように感じています。
今日は我々森田アルミ工業の製品を使って頂いている3社の建築会社様にゲストとして登壇して頂いて、私の方でいろいろと質問をさせて頂こうと思います。よろしくお願い致します。
まずお一人目ですね。三交不動産の吉野さん、自己紹介をよろしくお願いします。
〈吉野さん〉三交不動産の吉野といいます。よろしくお願い致します。


〈殿最さん〉住友不動産ハウジングの豊橋営業所の責任者をしております殿最雄太と申します。

弊社は営業が設計やコーディネートにも携わる一貫制の会社になります。私からは営業目線でのお話をさせて頂こうと思っております。
生まれは和歌山県で今年31歳になります。弊社は若くしても活躍できる会社かなあと思っていますので、そういうノウハウなどもお話しできればと思いますので本日はよろしくお願い致します。
〈藤本〉最後にレクト一級建築士事務所の廣戸さん、お願いします。
〈廣戸さん〉レクト一級建築士事務所の廣戸と申します。僕は島根県出雲市出身でして、今は東京で働いております。

レクトという会社は森田アルミ工業の子会社になりまして、建材メーカーから生まれたちょっと特殊な設計事務所です。

僕らは森田アルミ工業のみなさんと一緒のオフィスで働いていて、僕自身が建材の開発にも携わったりもしているので、なかなか設計事務所だけではできない経験ができる面白い会社だと感じています。
普段は都内の住宅の設計を中心にやっていまして、2階建て3階建てが多いですけど、去年はこの右下の写真になりますが、東京都の設計コンペに参加して1等が取れて設計を進めているところです。

こういった公共の案件も行っております。本日はよろしくお願い致します。
最近完成した印象的な物件は?
〈藤本〉ありがとうございます。さっそくですけど、お三方にいろいろ質問をさせて頂きたいと思います。まず1つ目ですね。最近完成した印象的な物件のご紹介をお願いできればと思います。

まずは三交不動産の吉野さんからお願いします。
三交不動産
〈吉野さん〉はい、こちらは元々建物がいくつか立っていた敷地で、一部の建物を残して建て替えを行いました。どのように建物を配置するかを打ち合わせするところから始めた現場で、その設計のステップをお見せしたいと思います。
スキップフロアを求めていたお客さんだったので、ぐーっと片流れ屋根で上がっていく途中で2階ができる間取りを考えました。
外観パースがこちらです。

この時点では土地にどのように配置をするかを決めていない状態でしたが、これなら入るだろうということで打ち合わせを進めていきました。
こちらはスキップフロアにしていて、低層の部分があったり、中2階があったり、吹き抜けで空間がつながったりしています。
こちらが外観パースですね。

そうして図面ができ上がっていきました。
次に外観は壁を見せるような形でちょっと違う趣になりました。

さらに次のステップではさっきよりも壁が左の方に寄りました。

こちらも中2階があります。
で、その次でほぼ最終的な形に近づきます。今度は敷地に対して南北に長い間取りですね。

最終的に東側の道路に寄った配置になりました。
そして、こんな形で図面ができ上がってきたんですけど、玄関に入ってからいろいろな面白い空間がある間取りになっています。
右手にユーティリティがあって、そこから天井高が低いウォークインクローゼットやパントリーを通ってキッチンへとつながる間取りですね。
2階の方は勾配天井があったり、小屋裏収納があったりします。
断面図も少しややこしくて、低いところがあったり、階段の途中に主寝室があったり。外観はシンプルなんですけど、中は高低差がある間取りになっています。
最終的にでき上がったのがこちらの写真です。

玄関にはS字の玄関框を使ってアールを付けています。玄関ホールの床はヘリンボーン張りになっていますが、これは元々組まれているものなので大工さんの手間があまり掛からない床材になっています。
リビングは勾配天井をどのように見せるかということで間接照明を使っています。屋根勾配よりも天井勾配を急にして、カーテンのすぐ上に間接照明が付くようにしています。また、リビングの上部には小屋裏収納とつながる窓が設けられています。
以上になります。ありがとうございます。
〈藤本〉ありがとうございます。框がS字になっているのがすごいなと思ったんですが、なぜそのようにされたんですか?
〈吉野さん〉お客さんから「框をちょっと曲げたい」という要望があったんです。「曲げたいのでしたらこういう建材がありますよ」とご紹介して採用を頂きました。
当初、右側に下駄箱を付ける予定だったんですが、S字をきれいに見せるために下駄箱をやめて、代わりに壁にタイルを張ってダウンライトで照らすようにしました。
〈藤本〉ありがとうございます。続いて住友不動産ハウジングの殿最さん、お願いします。
住友不動産ハウジング
〈殿最さん〉はい、はじめにパースをいくつか見て頂き、その後に実際の完成現場の写真をお見せしながら説明をしていきます。
まずご契約を頂いた方は土地購入からのお客様で、建築地は岡崎市になります。

外観は屋根をフラットに見せるようにしているんですけれども、実際の屋根はフラットではありません。トータルコーディネートが弊社の考え方になるので、メンテナンスコストが掛かりにくい屋根にして、パラペットで立ち上がりをつくってボックス型にしています。
こちらは北側から見た外観のパースです。

こちらが間取り図です。大きさは36坪程です。

次が完成した現場の写真になります。

左の写真に見える階段手摺りは、お客様から「木質感のない手摺りにしたい」という要望があり、今回初めて森田アルミ工業さんのアルミ製の階段手摺りを採用させて頂きました。
洗面化粧台はお客様から希望のイメージ写真を送って頂いていて、それに対してどういう商品を組み合わせるかを考えてご提案させて頂きました。右の写真が完成した洗面化粧台です。
今回一番こだわった点がリビングのテレビボード部分です。

通常の壁掛けテレビではなく、背面の木質に見えるところはアイカ工業さんのリブパネルなどを使っています。本物の木を使うと金額がかなり上がってしまうので、コストのバランスを考えてこの提案をさせて頂きました。

壁の黒い部分はリビエラさんの600mm×1,200mmの大判タイルです。構造的に負荷が掛かるところなので、設計事務所と密に打ち合わせをして提案をしました。
それから、キッチンは弊社のオリジナルのキッチンを使用しています。

トイレや水回りも、最近はSNSの普及もあってお客様の求めるレベルが上がっていますが、それに応えられるようにプラスアルファの提案をさせて頂きました。

次が寝室の写真です。

以上になります。
〈藤本〉ありがとうございます。照明の使い方がすごく印象的でしたが、そのあたりも強くこだわったところでしょうか?
〈殿最さん〉照明に関しては、ベースは照明会社さんにプランを一度つくって頂いて、その後はコーディネーターさんにお任せをすることが多いです。そのコーディネーターさんがすごくセンスが良い方なんですね。
〈川治〉テレビボードの意匠はあえてアシンメトリーにしているのでしょうか?
〈殿最さん〉おっしゃる通りです。お客様から頂いたイメージの写真がこれだったんですね。右側のパネルもあえて30cm、30cm、50cm、50cmという形で、トータルの幅感を逆算してこの割付を提案しました。
〈川治〉ありがとうございます。
レクト一級建築事務所
〈藤本〉では続いて、レクト一級建築士事務所の廣戸さん、お願いします。
〈廣戸さん〉はい。私は東京で設計をしておりますので、都内の23区内の案件が多く、こちらの木造3階建ての住宅も世田谷区で建築したものになります。

周辺は建物が立て込んでいて、この写真に見える左側の道路向かいには家が立ち並んでいましたので、そちらには窓を設けないようにしています。
その代わりに角のところに窓を設けて、周りの家と対面しないようにしました。
こちらが2階のLDKの写真です。

奥の大きい窓の方がリビングで、手前の左側がダイニング、右手がキッチンという構成です。
ダイニングに吹き抜けと大きな照明を付けて、一番印象的な空間になるように計画しました。

なかなか23区内だと、高さや面積の制限で吹き抜けをつくるのが難しいことが多いですが、ここはわりと余裕があったので大胆につくることができました。
また、リビングやキッチンの天井高は2.2mくらいにして、高いところと低いところのメリハリをつけています。それから、キッチンの方は少し薄暗い感じなんですけど、リビングは日が入ってきて明るい空間になっています。
そうして、空間にメリハリがつくように設計を進めていきました。

あと、開口の大きさも制限されてくるので、小さい開口部であっても光の入り方が印象的に見えるように、細長いスリットの窓にしたり、階段の段板をスリット状にして光が回り込むようにしたりといった工夫をしています。

こちらのお施主さんは、キッチンや洗面は造作にしてこだわりたいということや、床や壁にタイルを使いたいというご要望をされていましたので、色味やフローリングとの相性もご相談しながら進めました。

以上です。
〈藤本〉ありがとうございます。太陽光の入り方というのが一番工夫されていることになるのでしょうか?
〈廣戸さん〉そうですね。朝起きた時に自然光が入ってくるのを感じて「ああ、いい光だな」と思って頂けることを意識しています。
〈藤本〉キッチンを少し薄暗くすることで、リビングの明るさを際立たせるというお話も印象的でした。
〈廣戸さん〉空間の感じ方は相対的なものです。天井が低いところから高いところに行くと、より高く感じたり、暗いところから明るいところへ行くと、より明るく感じたりするので、そういう効果を積極的に採り入れるようにしています。
〈藤本〉ちなみにそうすると、みんなが明るいリビングに集まったりするのでしょうか?
〈廣戸さん〉いえ、意外と薄暗いところも好まれますし、「ちょっと落ち着いたところにいたい」という気分の時にも薄暗い場所が適しています。
〈川治〉レクト一級建築士事務所は森田アルミ工業の子会社ですが、この建物では森田アルミ工業の商品は使っていますか?
〈廣戸さん〉ええと、使ってないですね。「必ずしも使わなければいけない」ということは全然なくて、このように全然使わない案件もあります。
そういう時は「使わなかった理由」を会社にフィードバックできるので、それもレクトの役割なのかなと思います。
〈川治〉じゃあ、レクトさんに設計を依頼しても、森田アルミ工業の商品を押し売りされるわけではないということですね。
〈廣戸さん〉はい、まったくないです。

イベントレポートの前編はここまでです。次回の中編では、登壇者のみなさんに設計で心掛けていることや苦労していることについて伺います。
中編はこちらから→
三交不動産株式会社 https://re.sanco.co.jp/
住友不動産ハウジング https://sumifu-housing.co.jp/
レクト一級建築士事務所 https://www.rect-a.com/

