軒天の話
「軒天」というパーツをご存知でしょうか。
軒天(のきてん)とは軒先に出ている屋根の裏側の天井部分をさします。
近年では玄関上部やバルコニー上部にも屋根の代わりに軒天を施工するケースが増えてきており、総じて軒天や軒裏(軒裏天井)と呼ばれている箇所です。
従来の日本では軒が出ている住宅がほとんどでしたが、近年ではキューブ型(陸屋根)や片流れ屋根のように軒を無くしたスタイリッシュなデザインが人気な為、屋根の軒天が無い住宅が増えています。
軒と軒裏
軒のある住宅
軒のない住宅
「軒天」の役割
軒天には意外と知られていない3つの重要な役割があります。
・1つ目は屋根の裏側の構造部材を隠す役割
・2つ目は雨風や太陽光が直接外壁に当たらないようにする役割
・3つ目は火災の際に屋根裏部分に火が回らないよう延焼を防止する役割
と、住宅を守る上で大切な機能を持っている部材です。
一般的な住宅で使用されている軒天は「ケイ酸カルシウム板」という部材で、略して「ケイカル板」と呼ばれています。ケイカル板は耐水性・耐火性・耐湿性に優れており、金額も安価で加工しやすいことから最も多く使用されている軒天材です。
建売住宅やローコスト系の注文住宅では無塗装のケイカル板を現場で塗装し、ホワイト・ ブラック・ブラウンのいずれか3色で塗装されることが多いです。
塗装前/塗装後のケイカル板軒天
ケイカル板を使用した一般的な軒天
「木目調という選択肢」
軒天は従来の塗装色を使用するとどこか既視感のあるデザインとなり遊び心がないように感じる方も多いはずです。そのような時は木目調の軒天を使用し外観にアクセントを加えることで、周りの住宅と差別化された意匠性の高い住まいを演出することができます。近年「木」の雰囲気を取り入れた外観が人気があるため、各メーカーから様々な木目調の軒天材が発売されています。
レッドシダー調やウォルナット調、ティンバー調といった天然材のような質感を再現している軒天材から、スチップル調や黒錆・赤錆のような高級感を演出できる軒天材まで幅広いラインナップが用意されている為、デザイン意識の高い御施主様や建設会社から化粧された軒天材は高い支持を受けています。
中には軒天材と同じカラーラインナップを持った外壁材もある為、外壁との互換性がよく、木の質感を十分に感じられる仕上がりになる商品もあります。
アルテザード・アルテミュール/神島化学工業
軒天や外壁に天然木を使うことを憧れている方も多いと思いますが、経年劣化やメンテナンス性が気になり天然木を諦めるケースや、防火地域や準防火地域で天然木が使用出来ないケースなど、天然木はハードルが高いと感じている方が多いように見受けます。
そのような方は木目調の軒天を使用し、木ならではの温かみや重厚感を感じて暮らすのは いかがでしょうか。
軒天12・ニチハ株式会社
二級建築士・宅地建物取引士・二級FP技能士
1989年生まれ。埼玉県戸田市出身。株式会社おうちLABOにて「建築家とつくる家づくり」をコンセプトに住宅営業がいない住宅会社を経営。自身も建築士として様々なコンテストを受賞しており、デザインと住み心地を追求した住まいを埼玉・東京を中心に展開。建築士が土地仲介からFPまで行う独自のスタイルで延べ1000組以上の顧客の問題解決を行い、住まいのコンシェルジュとしてワンストップサービスを展開中。
株式会社おうちLABO