コンセプトは「ミュージアム」。なぜポーターズペイントは新たな「場」をつくったのか?(前編)
Noizless itemやインタビューコラムでも紹介させていただいたPORTER'S PAINTS(ポーターズペイント)さんの新ショールームが2024年7月に川崎市溝の口にリニューアルオープンしました。
本コラムではPORTER'S PAINTS JAPANを運営する株式会社NENGOの濱口さんに前編と後編の二回に分けて、なぜこのような新しい体験型ショールームをつくったのかを語っていただきました。
新ショールーム風景 photographer AKIRA NAKAMURA
色 ✕ 質感 ✕ ヒューマンメイド
PORTER'S PAINTSは「オーストラリア生まれの豊かな風合いが特徴の塗料」です。どんな魅力があるの?、他の塗料と何が違うの?、これをちゃんと説明しようとすると、一言ではなかなか表現が難しくなります。
そこで3つの事象に分けて説明しています。
1.色:世界一豊富な16色の顔料から創り出される色「控えめで多弁な色」や「目をひく大人しい色」を多く揃える
2.質感:本物の素材を使うことで “反射した光の表情や陰影” まで表現する質感。刷毛塗りで、あえて均一に仕上げず質感や陰影を表現
3.ヒューマンメイド:ひと刷毛ごと人の手でつくられる責任施工の仕上がり。ひとつひとつ、人の目で品質を確認し調色し製造
読んでいただいて「なんだか良さそう」くらいまでは伝わったでしょうか。
でも、やっぱり塗料という目で見えるものですから、実物を見るのが一番なんです。そこで新たにショールームをつくりました。
濱口智明さん(株式会社NENGO・街つくり事業部マネージャー、一級建築士、宅地建物取引士) 株式会社ゼロワンオフィスにて住まいを中心に建築設計に携わったのち、株式会社エンジョイワークスにて自由設計住宅の設計開発や空き家再生による事業企画などを行う。2021年、株式会社NENGO・街つくり事業部に入社。100年後を見据えた街つくりのため、不動産と建築の両方にまたがり各種事業を展開中。https://nengo.jp/
川崎・溝の口に「体感」の場を
PORTER'S PAINTSの新ショールームは2024年7月にオープンいたしました。場所は神奈川県川崎市、駅で言うと「溝の口」駅(または「高津」駅)になります。東急電鉄とJR南武線が通っているので、アクセスは悪くはないと思いますが、一般的には、もっとインテリアショップがたくさんあるようなエリア、具体的に言ってしまえば青山あたりとかに出すのが良いのではとの考えも当初のプロジェクトチーム内にはありました。
いろいろな理由がありますが溝の口になった決定理由の一つは、「広さ」でした。
単純にカラーサンプルをご覧いただくだけならば、なるべく便利なエリアにこじんまりとでもショールームを構える選択肢もありましたが、私たちチームは「PORTER'S PAINTSをもっとちゃんと体感してほしい」と考え、カラーサンプルを確認することと、空間や場として体感することは全く異なるものと捉え直し、そのために必要な「広さ」を求めました。
結果、溝の口にある弊社が運営する施設「BOIL」の2階まるまる250㎡ほどを使ったショールームが生まれました。
BOIL 溝の口外観
光と闇
体感の根っこにあるのが「陰影」に対する考え方です。色も質感も職人の手の跡も、光があってこそ、壁や天井に立ち現れてくるものなのですが、私たちは、光とともに闇もあること、その陰影の中から各個人が自然に受ける感覚が重要と考えました。
単純に色を比較するのであれば、均一に明るい部屋でサンプルを並べて比べる方が良いのかもしれません。しかし、実際に居心地の良い部屋というのは、パッと明るいだけの部屋に限りません。窓からの採光、照明のあたり方、季節、そして時間、刻々と変わる変化を、どう、その部屋の壁や天井たちが受け止め、またリアクションしてくれるかが、仕上げの良し悪しではないかと考えます。
photographer AKIRA NAKAMURA
新ショールームはその広さを活かすことで、明暗のグラデーション、方角の違いなど、来訪されるその日、その時間に応じて体感いただけるつくりにすることができています。
photographer AKIRA NAKAMURA
前編についてはここまでです。
後編については新ショールームのコンセプト「ミュージアム」について、リアルの場だからこそできること、家づくりについての考え方等について、語っていただきます。
PORTER'S PAINTS 新ショールーム詳細、予約はこちら
https://porters-paints.com/distributor/showroom/