窓枠の話
「窓枠」という部材をご存知でしょうか。
窓枠とはサッシの室内側に設ける枠の名称で、色や形状を変えることにより意匠性を高める役割もあれば、クロスの剥がれやひび割れを防ぐ機能的な役割もある部材です。
窓は住宅で1番熱が逃げる場所と言われており、壁と比較すると断熱性能が低い為、窓の性能が低いと窓周りに結露が発生します。結露した窓周りはクロスが剥がれやすく劣化の原因に繋がります。また窓の開閉時には少なからず揺れや振動が発生するので、窓枠を設けることで振動を減少させクロスのひび割れを防ぐ役割も果たしています。
このように窓枠には意匠性だけではなく、意外と知られていない機能的な役割もあり、意匠性と機能性を兼ね備えた部材と言えるでしょう。
3種類の納めかた
窓枠は「上枠」「下枠」「縦枠」に分類され、主に「四方枠」「三方枠」「一方枠(下枠 のみ)」といった3種類の納めかたがあります。
【四方枠】 「上枠」「下枠」「縦枠」を四方で囲む納めかた
【三方枠】 「上枠」「縦枠」の三方を囲む納めかた
【一方枠(下枠のみ)】 「下枠(窓台)」のみ枠を設置し、残り三方はクロスで巻き込む納めかた
一方枠は使用する枠材が少ない事からコストダウンにつながる為、以前まではローコスト系の注文住宅や分譲住宅では主流の納めかたでした。しかし、クロスの剥がれや劣化が多 く、アフターメンテナンスが大変という背景もあり、近年では「四方枠」が主流になり多くの注文住宅や分譲住宅に採用されております。
窓枠視点の内観デザイン
窓枠の形状やカラーを変えるだけで内観の印象も大きく変わり、デザインの選択肢を広げ ることができます。ここでは3つのデザイン手法を紹介し、窓枠視点から内観デザインを考えてみます。
【CASE1:窓枠・壁一体化】
壁紙カラーと合わせた四方枠の窓枠
窓枠をクロスの色に合わせると壁と一体化され、窓枠の存在感をなくすことが出来ます。 ベースのクロスはホワイト系を選択される方が多い為、近年ではホワイトの窓枠を選択さ れる施主様が多いように感じます。
三方枠の事例
【CASE2:ピクチャーウィンドウ】
象徴的な風景を切り取るピクチャーウインドウ
窓枠を額縁として捉え、外の景色を切り取ることが出来ます。また窓枠と巾木のカラーを合わせ一体感のある内観にするケースもあり、温かみのある空間や統一性のある空間を演出することが出来ます。
階段上部のピクチャーウインドウ
【CASE3:一方枠】
デザイン思考が高い施主様は枠自体をノイズと感じる方も多く、前述したデメリットも考慮した上でも一方枠を選択される方が多いです。窓枠というノイズをなくしシンプルかつ洗練された空間を求める方には一方枠がおすすめです。一方枠の中には見付が4mmしかなく、極限まで薄さにこだわったノイズレスな窓枠もあります。
見付け4mmの窓枠fitframe
施主様の中にはシンプルさを追求し「下枠も無くしたい!」という方もいますが、下枠部分は埃が溜まりやすく日々の手入れが大変になる為、下枠は無くすことはあまりオススメ出来ません。
窓枠は決して家の主役とは言えない部材ですが、心地の良い空間を作り出すためには大切な部材です。家族の生活スタイルにあった窓枠を選択し、豊かな暮らしを実現させてください。
二級建築士・宅地建物取引士・二級FP技能士
1989年生まれ。埼玉県戸田市出身。株式会社おうちLABOにて「建築家とつくる家づくり」をコンセプトに住宅営業がいない住宅会社を経営。自身も建築士として様々なコンテストを受賞しており、デザインと住み心地を追求した住まいを埼玉・東京を中心に展開。建築士が土地仲介からFPまで行う独自のスタイルで延べ1000組以上の顧客の問題解決を行い、住まいのコンシェルジュとしてワンストップサービスを展開中。
株式会社おうちLABO