建築家が知らないこと

お化粧どこでされますか?

女性の方、毎日のお化粧、大変ですよね。女性だけではなく、最近は男性でもお風呂上りに化粧水をつける程度のスキンケアは当たり前になってきているとも聞きます。このような生活ルーティンを、単なる面倒な日々の負担ではなく、日々の楽しみにできるかどうか、実は家づくりにおいて、とても大事な根っこの部分ではないでしょうか。

さてさて「お化粧をどこでするか」、人によって、けっこう違うみたいですね。鏡がある部屋といったら、やっぱり洗面所の手洗いスペースでと考えますが、寝室のドレッサーでされる方、家事をしながらダイニングテーブルで効率的に、なんとなく部屋のベッドに腰かけてやってますねぇ、などお答えは様々。皆さんはどこでお化粧されますか?

 

子どもの勉強はどこでさせます?

こちらも意外と選択肢があるのです。子ども部屋=勉強部屋、一般的にはそうかもしれませんが、例えば子どもがまだ小さい頃はリビングの一画で親が見守りながら勉強させた方が良いという考え方の方がいらっしゃったり、家族みんなで使えるデスクスペースを間取りの中に組み込まれる方もいらっしゃいます。最近はリモートワークで親が家で仕事をする場面も増えてきていますので、一緒に席を並べて、集中してそれぞれのタスク完了(親は業務、子は宿題)をがんばるなんて光景も増えてきているかもしれませんね。

 

建築家は知らない

建築家に依頼して理想の家をカタチにしてもらう。もちろん土地や建物の条件もありますし、予算は限られますから、理想をそのまま実現することは簡単ではないですが、だからこそ経験豊かでアイデアをたくさん持った建築家にまるっと設計をお願いすれば、きっと良い家になるはずと思っていないでしょうか。

残念ながら、半分正解で、半分間違いです。

建築家は、仕事を依頼してきた、あなたのこと、一緒に住むご家族のことを全く知らないところから設計検討をスタートさせます。おそらく初回の打合せでは、多くの質問をヒアリングし、あなたの「理想の家」の中身を聞き出そうと注力するはずです。

ただし限られた打合せ時間で、しかも受け身の質疑応答から導き出せる内容は、日々の暮らしに内在されている膨大な情報量と比べれば、ほんのわずかしか抽出できるものではありません。あくまで「あなたの暮らしは、あなたしか知らない」、当たり前の前提に立って、暮らしの中で大事にしていることを中心に積極的に建築家に伝えていった方が良いでしょう。