フローリングの話④「デザイン編」 〜床は「面」ではなく、「線」まで設計する〜

これまで「種類編」「樹種編」「塗装・メンテナンス編」とフローリングについてお話ししてきましたが、最後に私が⼤切にしている「どう⾒せるか」というデザインの視点についてご紹介をさせていただきます。

フローリングの話①「樹種編」はこちら→
フローリングの話②「種類編」はこちら→
フローリングの話③「塗装・メンテナンス編」はこちら→


私はフローリングを選ぶ際、「板の幅」「⻑さ」「*⽬地の⼊り⽅」を考慮して床をデザインしていくことが⼤切だと考えています。
*目地(めじ):板と板との間にできる線(隙間)のこと。

床は⼤きな⼀枚の「⾯」に⾒えますが、実際には⼀枚⼀枚の板と、その境界にできる無数の⽬地で構成されています。 板幅が細くなるほど⽬地が増え、床に細かなリズムが⽣まれます。

画像提供 株式会社 おうちLABO

反対に幅広になるほど線の情報量が減るので、⼀枚⼀枚の⽊⽬を⼤きく⾒せられる効果や、ゆったりと落ち着いた印象をつくりやすくなります。

⻑さも同様に、短い材が多ければ継ぎ⽬が増え、⻑尺材になるほど継ぎ⽬が減るため、床をより⼤きな⾯として感じやすくなります。

お施主様とのお打ち合わせでフローリングを選定する際も、⼩さなサンプルでは気にならなかった⽬地が、広いLDKに施⼯すると印象を⼤きく左右することがありますので、床材単体ではなく、「空間全体にどれくらい線が⼊るのか」という視点が重要だと私は思います。

写真提供:レクト一級建築士事務所



⽬地のずらし⽅までデザインする

フローリングを選定する際に⾒落とされやすいのが、板同⼠の継ぎ⽬である「⽬地」のずらし⽅です。 同じ⻑さの床材でも、⽬地を1/2や1/3など⼀定のルールでずらすと規則性が⽣まれ、整った印象になります。

⼀⽅で、乱尺材などで⽬地を不規則に配置すると規則性が弱まり、より⾃然な⽊の表情を感じやすくなります。

⽬地をきれいに⾒せることもデザインなら、⽬地を意識させないこともデザインだと思いますので、フローリングの貼り⽅ひとつにも、設計者の考え⽅が表れる部分だと思います。

画像提供 株式会社 おうちLABO



おすすめのフローリング

ここまで幅・⻑さ・⽬地についてお話ししましたが、私がおすすめしているフローリング をご紹介します。

①朝日ウッドテック・ライブナチュラルMRX(突板フローリング)

画像  朝日ウッドテック ライブナチュラルMRX オーク

1つ⽬は突板フローリング、朝⽇ウッドテックの「ライブナチュラルMRX」です。

MRXは天然⽊の突き板を使⽤し、節や⽩太など⽊が本来持つ個性を多く取り⼊れたフローリングです。 均⼀に整いすぎていない⽊⽬とマットな質感によって、天然⽊ならではの表情を楽しめるところに魅⼒があります。

お施主様とフローリングの仕様を決める際も、「⽊の質感は感じたいけれど、空間はシンプルにまとめたい」という⽅には提案しやすく、私⾃⾝も好きなフローリングの⼀つです。

また、⽐較的リーズナブルな価格でありながら、天然⽊ならではの豊かな表情と質感を楽しめるため、コストと本物らしさのどちらも⼤切にしたい⽅におすすめです。

→朝日ウッドテック ライブナチュラルMRX


①朝日ウッドテック・ライブナチュラルプレミアム(挽板フローリング)

画像提供 株式会社 おうちLABO

2つ目は挽板フローリング、朝日ウッドテックの「ライブナチュラルプレミアム」です。

無垢材を約2mmの厚さに鋸で挽いた天然⽊の挽板を使⽤しており、無垢材に近い⽊の表情や質感を楽しみながら、複合フローリングならではの⼨法安定性や床暖房対応といった機能性も備えています。

表⾯には⽊の⾵合いや触感を活かしながら、摩耗や汚れへの耐久性も確保したナチュラルマット塗装が施されており、フリーワックス仕様なので天然⽊の質感を楽しみながら⽇々のメンテナンス負担を抑えられる点も魅⼒です。

またデザイン⾯では、節などを抑えた端正で洗練された表情から、節や⽩太を活かした躍動感のある表情、⽊⽬を際⽴たせる着⾊タイプまでラインナップされており、空間のテイ ストに合わせて「⽊をどう⾒せるか」を選ぶことができます。

弊社のモデルハウスでも実際に採⽤しており、素材感とデザイン性の両⽅を⼤切にしたい⽅には、ぜひおすすめしたいフローリングのひとつです。

→朝日ウッドテック ライブナチュラルプレミアム


④LIXIL・「Dフロア」(シートフローリング)

画像提供 株式会社 おうちLABO

3つ目はシートフローリング、LIXILの「Dフロア」です。

特殊加⼯された化粧シート「ハイパーフィルム」を使⽤し、天然⽊に⾒られる⽊⽬の揺らぎや質感を表現しています。さらに「リアルフットフィール仕上げ」によって、樹種ごとの⽊肌の違いまで再現しており、シートでありながら⾒た⽬だけでなく⾜触りにもこだわったフローリングです。

傷や変⾊・退⾊にも配慮した表⾯性能を持ち、⽇常のお⼿⼊れは掃除機や乾拭きが基本になります。定期的なワックスがけも必要ないため、デザイン性を⼤切にしながら、⽇々の 扱いやすさも求めたい⽅には⾮常に選びやすい床材だと思います。

またDフロアには豊富なバリエーションがあるため、床単体で選ぶのではなく、空間全体のカラーコーディネートから逆算して選びやすいところも特徴です。LIXILでは建具の「Lasissa(ラシッサ)」シリーズも展開しており、Dフロアとの親和性が⾼いため、床と建具の⾊味やテイストを合わせたい⽅にもおすすめのフローリングです。

→LIXIL・Dフロア


③森田アルミ工業・「BAYS WOLD」(突板幅広フローリング)

写真提供:レクト一級建築士事務所

4つ目は突板フローリング、森田アルミ工業の「BAYS WOLD」です。

BAYS WOLDの⼤きな特徴は、⼀般的なフローリングよりも⼤幅に広い303mmという板幅です。

フローリングは幅や⻑さによって床⾯に現れる⽬地や⽊⽬の数が変わりますが、WOLDは幅を広く、⻑さを1818mmとすることで⽬地の数を抑え、空間に伸びやかな広がりと静けさをつくるよう設計されています。

本来、幅広・⻑尺の⼀枚板は⼤きな原⽊が必要となるため、希少性が⾼く価格も上がりやすくなりますが、WOLDは、家具づくりにも⽤いられる天然⽊の突板を張り合わせる技術を応⽤し、⼀枚板のような豊かな表情を⽐較的取り⼊れやすい価格で実現しています。

また、表⾯にはUVマット塗装を採⽤しており、傷や汚れへの耐久性やメンテナンス性を確保しながら、⼀般的なUV塗装に感じる光沢をできるだけ抑え、天然⽊らしい⾃然な質感を残している点も魅⼒です。

私がWOLDに魅⼒を感じる最⼤の理由は、「⽬地という線を減らすことで、床そのものを⼀枚の⼤きな⾯として⾒せる」というコンセプトです。

この考え⽅は、私が住宅をデザインするときに⼤切にしている「細部のノイズを減らす」という思想と⾮常に近いため、「⽬地を減らす、美しさが増す。」というWOLDの考え⽅は、フローリングの幅そのものをデザインするという、新しい床の⾒⽅を教えてくれる商品だと思います。

→森田アルミ工業 BAYS WOLD



床は、住まいで⼀番⼤きな家具

今回まで4回にわたり、「種類」「樹種」「塗装・メンテナンス」「デザイン」という視点からフローリングについて考えてきました。


どの素材を選ぶか。

どの⽊を選ぶか。

どのような質感に仕上げるか。

そして、どのような線で空間に納めるか。


フローリング選びは、単に好きな⾊の商品を⼀つ選ぶ作業ではありません。

床は毎⽇⽬に⼊り、毎⽇⾝体に触れ、家具や建具、壁、照明と⼀緒に住まいの空気感をつくる存在です。
だからこそ私は、床を「住まいで⼀番⼤きな家具」だと考えています。

⾊や樹種だけではなく、幅や⻑さ、⽬地にも少し⽬を向けてみる。そんな細かな選択の積み重ねが、何年経っても⼼地よいと感じられる空間につながっていくのかもしれません。