【イベントレポート】勝手にセレクト展②|「アートウェア」を掲げるユニオンの独創的なドアハンドル
5月23日に無印良品グランフロント大阪(大阪市北区)で開催された、『Noizless』vol.3発刊記念イベント「勝手にセレクト展 -Parts for Home-」のトークイベント。
イベントレポート2回目では、株式会社ユニオンの村田佳奈さんのお話を紹介します。
村田佳奈さん(株式会社ユニオン 開発デザイン室・宣伝広告室・SDGs事務局)
創業67年、多様なドアハンドルを生み出す金物メーカー。
〈宇野〉ここから司会を務めさせて頂きます、森田アルミ工業の宇野と申します。よろしくお願い致します。
宇野 健太郎 (森田アルミ工業・研究開発部 営業2部 常務取締役) 大阪の一風変わった集合住宅『都住創』で幼少期を過ごす。2005年 東北芸術工科大学(山形市)現プロダクトデザイン学科卒。同年から都内の建築設計事務所で不動産を経験。2007年 森田アルミ工業株式会社入社。入社以来、森田アルミのデザイン全般を担当。2015年に東京オフィス、2020年レクト設計、2022年にNoizlessの立ち上げに参画。
今日はこれからユニオンさん、MUJI HOUSEさん、堀田カーペットさん、ケイミューさんとトークセッションを行って参ります。
まずはユニオンさんと言えば金物。特にドアハンドルが有名です。ちなみにNoizlessでセレクトさせて頂いたのは『Unimo(ユニモ) 』というシリーズのペーパーホルダーとタオルバーですが、今回はその話だけではなく、ユニオンさんってどんな会社なのかも詳しく聞いていきたいと思います。
では、最初に村田さんから自己紹介をお願いできますでしょうか?
〈村田さん〉株式会社ユニオンの村田と申します。本日はよろしくお願い致します。

私は当社の開発デザイン室に所属しており、宣伝広告室とSDGs事務局も担当しています。普段はドアハンドルなどのデザインをしていますが、当社は今大阪・関西万博に出展していますので、最近はその取材を受けたり記事を書いたりもしています。それから、SDGs事務局としてCO2排出量の削減や地域貢献の活動などにも取り組んでいます。
次にユニオンの紹介ですが、当社はドアハンドルやタオルバーなど、建築の中で使われる金物をつくっている会社で、今年で設立67年になります。本社は大阪にあり、東京、名古屋にも事務所を構えています。
ホテルやオフィスなどに弊社の製品は多く採用されていますが、テーマパークやショップなどにも採用されています。こういった場所で使われるドアハンドルは現場に合わせたカスタムメイドで、ワンセットからも製作を承っています。
〈宇野〉ユニオンさんではカタログにないものもけっこう作られているんですか?
〈村田さん〉そうですね。カスタムメイドの製品においては、設計者の方と話しながら、どんな形のものがふさわしいかを考えてデザインしています。私たちは基本的にファブレスであり、いろいろな素材を扱えることが強みになっていますので、例えば、金属にレザーやガラス、石材などを組み合わせたドアハンドルとか、常に新しい素材や技術を探して、空間をより良くできるドアハンドルを研究しています。

〈宇野〉ユニオンさんのデザイナーさんは、素材のことを幅広く知っていなければいけないんですね。
〈村田さん〉そうなんです。アッセンブルと呼ばれますが、異なる素材同士をくっつける仕組みや技術も必要になります。その際に、各工場や工房の方と接着方法や留め方の構造を一緒に考えて進めていくのは楽しくやりがいのある仕事です。
〈宇野〉ちなみに、村田さんは普段はどんな製品のデザインをしていますか?
〈村田さん〉基本はカタログに掲載されるハンドルのデザインをしていることが多いです。当社では昨年度『Romante(ロマンテ)』という高級ラインのハンドルを作っていて、私はこのシリーズのデザインに携わっていました。
Romante 商品ラインナップ
「日本でしか作れないものを使ってドアハンドルを作ろう」というプロジェクトで、焼き物や漆などの伝統工芸を取り入れているのが特徴です。
真鍮と漆で仕上げたドアハンドル
こちらの写真は真鍮に漆を塗って仕上げたものです。使っているうちに漆の層が薄くなってくると真鍮がきれいに見えてきます。このプロジェクトではそういう挑戦的な取り組みも行っていました。
〈宇野〉形だけでなく、素材の組み合わせで新しい表現方法をつくり出しているんですね。
〈村田さん〉私たちだけではできないことなので、全国の伝統工芸品を見たり、職人さんを訪ねたりしました。そのために伝統工芸の歴史なども勉強をしていました。
新たなレバーハンドル開発からスタートした『Unimo』シリーズ。
〈宇野〉ではここからは『Unimo(ユニモ) 』についてお話を伺いたいと思います。今回『Noizless』でセレクトさせて頂いた商品『Unimo 』は新しいんですけど普遍的な形をしているのが特徴だと思いました。このシリーズが生まれた経緯を教えて頂けますか?
〈村田さん〉『Unimo 』のシリーズは今までに見たこともないような新しいレバーハンドルを生み出すことから始まりまりました。基本的にレバーハンドルには丸いベースがあって、その上に握る部分が付いているものなのですが、そのベースを見た目上はなくし、持ち手だけが扉にくっついているシンプルな形のレバーハンドルを作ろうというコンセプトで、『Unimo 』の開発をしたんです。ドアの表側ではなく錠前にベースを付けることで、このような形ができています。
UNIMO レバーハンドル
そして、レバーハンドルと合わせて、同じ意匠の金物を住宅に付けて頂けたらなあと思い、シリーズ化してタオルバーやペーパーホルダーなどの製品を展開することにしました。
unimo Towel Bar タオルバー
unimo Paper Holder ペーパーホルダー
できるだけシンプルに、そして時間が経ってもきれいな金物でいてくれるように素材にはステンレスを採用しています。ステンレスは汚れても磨けば元に戻りますし、除菌のためにアルコールを使っても大丈夫です。
あとは流行に左右されず、どの時代でも住宅の内装にマッチするようなものを目指してデザインをしています。
クラフトマンシップ、クリエイティビティ、コンサルティングにこだわる。
〈宇野〉ところで、ユニオンさんのホームページを見ていると、「アートウェア」というキーワードが出てきますが、この言葉にどんな想いが込められているか教えて頂けますか?
〈村田さん〉私たちは建築パーツという機能的なハードウェアを作っていますが、機能的なだけではなくデザイン的にも価値のあるものを作り続けたいという想いから、アートとハードウェアという言葉を組み合わせた「アートウェア」というコンセプトを掲げています。
その中にクラフトマンシップ、クリエイティビティ、コンサルティングというキーワードがあります。それぞれ、時代を超えて色あせない品質にこだわること、美しいデザインと独創性にこだわること、高い専門知識と技術の提供にこだわることを意味しており、これらの考え方がユニオンのすべてのものづくりのベースになっています。
先程お話した『Unimo 』のベースを見えなくしたレバーハンドルも、独創性へのこだわりから生まれた商品です。
〈宇野〉あとは、ユニオンさんでは社会貢献活動にも力を入れている印象があるのですが、そのあたりのお話を聞かせて頂けますか?
〈村田さん〉ユニオン造形文化財団という公益財団法人があり、そこで若手の建築家やアーティストの方を支援したり、本社でも大阪を盛り上げるための地域の活動を行っています。地域や業界を盛り上げることが、自社にとってもいいものづくりにつながると考えているからです。
〈宇野〉ところでユニオンさんの製品は、住宅よりも公共施設やオフィス向けのものが多いんですよね?
〈村田さん〉はい、でも今後は住宅向けの製品にもっと力を入れていこうとしていますので、ご興味がある方はぜひ大阪・東京・名古屋にあるショールームにお気軽に足を運んで頂けたらと思います。
株式会社ユニオン WEBサイト: https://www.artunion.co.jp/
〈Noizless 商品掲載ページ〉
ユニオン大阪ショールーム
大阪市西区南堀江2-13-22
営業時間:9:00~17:00 定休日:土日曜祝日
ユニオン東京ショールーム
東京都江東区白河2-9-5
営業時間:9:00~17:00 定休日:土日曜祝日
ユニオン名古屋ショールーム
名古屋市中川区舟戸町3-20
営業時間:9:00~17:00 定休日:土日曜祝日
勝手にセレクト展のイベントレポート第2回はここまでです。第3回では、株式会社 MUJI HOUSEの松本雄作さんのお話をご紹介します。
